0.はじめに
どうも、こんにちは。TGです。今回はZwei Lanceさんのメンバーシップで行われた大会でベスト8(60人規模)になったオリジナルフォーマットのボルコンをご紹介していきたいと思います。構成はこんな感じ(今回はあまりにも文量が多いため、各章ごとに記事を出していきたいと思います)。
1.構築論
2.採用カード
3.各対面に対する立ち回り
4.採用候補カード
では、Let's Go!
1.構築論
まず、実際に大会で使用した対戦成績・デッキリストは下記の通りである。
Zweiさんのメンバーシップ大会
— TG (@TG33957676) 2021年9月19日
(オリジナルフォーマット)
使用:ボルコン
予選
1回戦:ダイリュウガン×
2回戦:墓地ソース○
3回戦:ボルシャック○
4回戦:不戦勝
5回戦:ジョー星○
本戦
1回戦:キラスター○
2回戦:シータ閃×
最後、RXバジュラに屈してベスト8でした。次は優勝できるよう頑張ります。
おそらく皆様が想像しているボルコンとは大きく離れた形になっていると思うので、この章では何故このような構築に至ったのかを先に説明したい。全部で9項目!では行ってみよう!
①オリジナルフォーマット
皆様もご存知の通りオリジナルフォーマットとは、外部ゾーンを使用せずにメインデッキ40枚のみで対戦する新フォーマットである。
(公式HPより引用)
さて、ここでオリジナルフォーマットが発表される前の構築を見ていこう。
(前回ブログより引用。以下この構築をアドバンス構築と呼ぶ。)
この構築では
・締め札:最終龍覇グレンモルト
・ビートプラン:ヴァイカー・ロージア
・制圧:デジルムカデ
・盤面展開:パーフェクトウォーター・バックラスター
上記の通り、デッキパワーの引き上げを外部ゾーンに依存していた為、オリジナルフォーマットにてCSに出場する場合、既存のデッキ構築ではなく、オリジナルの強みを活かした構築に変更する必要があった。
②デッキパワー
ではオリジナルフォーマットの構築を模索するにあたって、アドバンス構築に負けず劣らずのパワーを有した(少なくともオリジナルならでは利点を活かした)構築にする為には、どうすればよいだろうか。私が、初めに考えたのは「アドバンス構築から外部ゾーン要因を抜いて、同じ役割のカードを採用すればよいのでは?」というものであったが、
(例:↑デジルムカデの交換先候補2枚)
・交換後のカードが交換前と同等のパワー・使いやすさを有しているとは限らない
・オリジナルならではの構築を目指す際に、外部ゾーンありきのデッキバランス(役割)を参考にするのは矛盾している
上記2点を考慮した結果、デッキパワーは大きく下がり、構築バランスが崩れる可能性が高い為、ボツとなった。
③構築方針
繰り返しになるが、上記案がボツになった理由は
”外部ゾーンが抜けたパワー不足を同じ役割のカードで補完できるとは限らない”
という観点である。が、ここで一度考え直したい。そもそもアドバンス構築にて使用していたカード達は初めから”役割”のみを意識して採用されていたのだろうか。
もちろんそういった側面もあるが、採用理由としてそれ以上に適切なのは”高いカードパワーを有していたから”ではないだろうか。つまり、オリジナルフォーマットならではの構築を目指すのなら「”役割”を意識してカードを採用するのではなく、置かれた環境(カードプール)の中でパワーが高いカードを見定めること」が必要になってくるのではないだろうか。
④カードパワー
ではパワーの高いカードをどのように探すか。
Q.「パワーが高いカードとは?」
A.「環境で使用されている、もしくは使用されるスペックがあるカード達」
(※個人の意見です)
という考えが自分の中にあった為、この考えを基に主軸となるカードを考えることにした。
ではオリジナル環境発足時(2021年1月頃)に注目を浴びていたデッキ達を見ていこう。
1.デッドダムド
2.デスザーク
3.閃
環境初期に注目を集めていたデッキは主にこの3種。
また、各デッキが使用しているメインギミックは下記の通りである。
・デッドダムド:「侵略」。指定された文明かつ種族に”コマンド”とあるクリーチャーが攻撃する時に、コストを支払わず進化し、各種アドバンテージを獲得する。
・デスザーク:「無月の門」。種族に”魔導具”と記されたカード達を用いて、墓地を肥やし、それらを束ねて大型クリーチャーを使用し、相手を制圧する。
・閃:「革命チェンジ」。指定されたコスト・文明、種族に”ドラゴン”とあるクリーチャーが攻撃する時に、コストを支払わずに大型クリーチャーに入れ替わり、速攻を仕掛ける。
⑤採用ギミック
環境で使用されているデッキとそのギミックの把握ができたところで、次はどのギミックを構築に取り入れるかを吟味する段階だ。
・「侵略」
デッドダムドの主軸として採用されているのは主にこの4枚である。侵略元となるデドダムはリソース面、ヴェルデは盤面除去、シャッフは制圧に優れており、各々のカードパワーは申し分ないであろう。この段階で前述した採用条件を満たしているが、気になったのはデッドダムド、デドダム、ヴェルデの文明である。私の構築ではこれまで自然文明を採用してこなかった為、このギミックを採用する場合、「既存の構築変更」に加えて「自然文明を加えた新たなデッキバランスの創出」という負荷が追加でかかる事になる。既存の基盤を活かした構築が定まる前に文明を追加してしまうと最悪の場合、デッキバランスが崩れて、構築そのものがわからなくなってしまう(構築不可能になる)可能性がある。これらの理由から今回はこの「侵略」ギミックの採用を見送った。
・「無月の門」
デスザークやガリュザークを使用する為に採用されていたのは主に上記4枚(魔導具は他にもあるが今回は割愛)である。少し話は逸れるが、ハイランダー構築の利点とはなんだろうか。私は「40種類のカードを採用することで小さなシナジーが多く生まれ、既存ギミックや世に出回っている構築以上の動きが可能になること」であると私は考えている。ではこの利点を頭に入れた上で改めて「無月の門」を見てみよう。デスザークやガリュザークを盤面に出す為に必要なカードは、デスザークは本体+魔導具で5枚、ガリュザークは7枚だ。必要なパーツが非常に多い上に、ハイランダーというデッキ性質上、魔導具達の採用枚数は1枚。つまり、上記カード達を中途半端に採用しただけでは本家の劣化になってしまう可能性が高い。その状態で従来のデスザーク以上の動きはできないと判断した為、「無月の門」の採用はボツとなった。
・「革命チェンジ」
革命チェンジの主軸として採用されていたのは主に上記4枚。また私がオリジナル構築の主軸として採用したのは、この「革命チェンジ」である。このギミックが採用に至った理由は2つで、1つ目は「腐りにくい」こと。2つ目は「必要パーツが少ない」ということである。
1つ目に関して、「侵略」とは異なり、革命チェンジ先である閃やエクスの文明がデッキにマッチしているため、ゲーム序盤ではマナ基盤になり、中・終盤にかけては強力な除去や打点になる。またチェンジ元(チュリス系統)もスピードアタッカーを有しているため、ビートプランを取る際にも最低限の役割をこなす為、無駄がない。
2点目に関して、ギミック自体がチェンジ元・チェンジ先の2種・2枚で完結しており、それらを揃えることで本家と同等の動きができる。これはコンボ(2枚以上のカードの組み合わせで大きなアドバンテージを得る動き)を行うという点では最小枚数である。また「無月の門」とは異なり、3種類以上のカードが必要でないということは1枚×40種で構成されているハイランダー構築の中で、最も再現性を高めてプレイできるコンボである為、今回取り上げたギミックの中で一番デッキにマッチするといっても過言ではないだろう。
上記2点をまとめると「1種でも最低限の仕事をこなし、2種以上揃えばゲームに多大な影響を与える」という点を評価し、採用に至った。
⑥運用方法
デッキの主軸の次に決めるべきはその運用方法である。初期の構築では「序盤をハンデス・メタクリーチャーで凌ぎつつ、中・終盤以降にチェンジ系統や大型クリーチャーを締め札にする」というコンセプトでデッキを組んでいたが、
(初期の構築)
ハンデスはデスザークに効き目が薄く、デッドダムドの圧倒的リソースの前には無力であった。またメタクリーチャーは、閃のサイバーエクスやGWD、デッドダムドのヴェルデ等で簡単に退かされながらドギラゴン・レッドギラを絡ませ殴られる。中盤以降の革命チェンジに備えてリソースを増やしたところで、ダークネスやラビリピト等の大型ハンデスに間に合わない。等、メタクリーチャーやハンデスで稼いだ時間を勝利に直結させることができずに敗北することが多かった。
この問題を解決する為、各対面のデッキ分析を改めて行なった結果、(環境当初の)「ドギラゴン閃」、「デッドダムド」、「デスザーク」の共通点として「”盾が比較的薄いということ”、”動きの中でメタを突破できる上に、時間を与えると手のつけようがないこと”」という傾向に気が付いた。これらのデッキに対するアプローチ手段は早期ビートプランが有効であるとアドバンス環境から学んでいる為、デッキの主軸である「革命チェンジ」を中・終盤締め札ではなく、序・中盤のビートプランにて活用することを決めた。(早期ビートプランに関しては前回ブログの4章「番外編」にて解説)
⑦サブギミック
運用方法が決まり、実際にデッキを回してみたところ、ある問題が目についた。それはチェンジギミックを引けている時とそうでない時の”出力の差”である。デッキ基盤がハイランダー構築ということもあり、革命チェンジを毎試合引けるわけではない。その為、「革命チェンジが引けない際にも一定の出力が保障されており、かつデッキに採用されている既存ギミックとも相性が良いテーマ」を探し出す必要があった。そこで目についたのが、王来編第一弾にて収録された「スター進化」ギミックである。
このギミックを採用した理由は2つ。1つ目は、「ギミック自体にパワーがあり、環境で活躍していること」こと。2つ目は前述したように「デッキとの噛み合いが良いこと」である。
1つ目に関して、王来編第一弾に収録されて以降、現在に至るまで環境で活躍しているギミックであり、”④カードパワー”の章で述べた条件を満たしている。
2つ目に関して、各カードの役割は左から順に
・「正義星帝」<鬼羅.Star>⇨盤面のメタクリーチャーから進化し、手札補充と同時に追加クリーチャーを出し、更なる追撃・制圧を行う。
・大爆龍ダイナボルト⇨サイバーエクスやバルチュリスと絡めて、ゲーム序盤の段階で大打点を形成することが可能。
・神・マニフェスト⇨革命チェンジのパーツを引き込みながら、手札を整えられる。
まとめると、スター進化ギミックは「革命チェンジを引けなくても十分にプランとして成立する」+「(キラスターと組み合わせることで)メタクリーチャーの出力が上がる」+「マニフェストやダイナボルトの存在から、革命チェンジとの相性が良く、組み合わせることで既存デッキではなし得ない出力を発揮する」という一石三鳥のギミックなのだ。
⑧NEX
さて、最後に今回の構築の目玉である下記カード達の採用理由を述べたい。
このデッキの回すに当たって懸念されることは、先程のサブギミックの章でも解説した通り、「ハイランダー故に、所謂通常の構築と比べて”チェンジ元と先の2種が揃う確率が低い"」ということだ。この問題はクリスタルメモリーなどのサーチ札を絡めることで解決できるが、環境デッキ相手にサーチ札を挟みながら2ターンかけてチェンジセットを揃えるのは至難の業だ。この問題に悩まされていた際に、発売されたのが「ボルシャック・NEX /スーパースパーク」である。このカードは、受け性能を上げるだけではなく、バルキリールピアを絡める事で「1ターンの内に状況に応じたチェンジ先を持ってきながら、同時にチェンジ元を揃える」という動きを可能にした。
しかし、このカード達の採用は「バルキリールピアを先に引いた時のNEXの出先をどうするのか」や「バルキリールピアを素引きした際の対処法が必要」という新たな問題を引き起こした。それらの問題を解決するために採用したのが、下記カード達である。
左から順番に
・聖霊龍騎サンブレード・NEX⇨手札を入れ替えながら、バルキリールピアの進化元や閃のチェンジ元になる。
・凰翔竜騎ワルキューレ・ルピア⇨ダイナボルトからの打点形成や閃のチェンジ元。邪王門から出てきたNEXの能力で呼び出し2面ブロッカーを作る等、攻守共に優れた能力を持つ。
・エヴォルピア⇨進化先の対象はバルキリールピアだけではなく、キラスターも含まれている為、スター進化との相性も良い。
・チャラルピア⇨今回の構築は革命チェンジを主軸としていることもあり、デッキのドラゴン比率が高い。その為、このカードが場に出るだけで、ゲームスピードが早まり、ゲームエンドまでの時間を一気に縮めてくれるカードである。
全カードがデッキ内にシナジーを持ちつつ、動きを底上げしてくれている。つまり、NEXギミックはハイランダー構築の弱点を補完しつつ、主軸の革命チェンジとサブプランのスター進化をサポートするという橋渡し的存在なのである。
⑨コンセプト
最後にこのデッキのコンセプトを改めて紹介する。今回のデッキのコンセプトは”ボルメテウスの焼却が間に合わないテーマには早期ビートプラン”を、そうでないデッキは”豊富なドローソースやメタクリーチャーを用いて時間を稼ぎコントロールする”というものである。また、コンセプトを実現するにあたって使用したのが「革命チェンジ–NEX–スター進化」の図式であり、これこそがオリジナルならでは利点を活かした構築であると私は考えている。
2.終わりに
いかがだったでしょう。ここまでが、このデッキ構築に至った変遷になります。次回は採用カードの解説を進めていきたいと思います。また、いつも記事を読んでくださる皆様、ありがとうございます。不定期更新ながら、定期的にみてくださる皆様には感謝の念が絶えません。今後もこうしてなにかある度に記事を書いていきたいと思います。では、次回の採用カードの解説でまたお会いしましょう!